コロナウイルス禍で進展!「GIGAスクール構想」に迫る!

コロナウイルス禍で進展!「GIGAスクール構想」に迫る!

2021年7月22日

小・中学生のお子さんがいる家庭では、学校から iPad が配付されたりして、
急にICT化の波に乗ることになっていませんか?
そして、「GIGAスクール構想」なんて言葉も出てきて、戸惑っていませんか?

元越谷市立平方中学校・校長で、現在、吉川市教育委員会で教育指導支援員の
ICT利・活用に関する研修を手掛けていらっしゃる大西久雄さんにお話を伺いました。

大西久雄さんの経歴

大西久雄さん経歴

元越谷市立大袋中学校/平方中学校・校長
前沖縄アミークスインターナショナルスクール学園長・中学校長
現在、吉川市教育委員会・教育指導支援員

校長在職中には、iPadなどを利用したICT教育に力を入れ、
SNSを提供している企業などと連携して、
中学生にインターネットを活用しながら、
その利点や危険性を体感させる取り組みが話題を呼び、
新聞・テレビなどで取り上げられる。
こしがや子育てクワイエでも、
度々、記事化にご協力をいただいている。
 

大西久雄さん取材記事
親子でインターネットを正しく、安全に使おう!!
子どものインターネット活用で親が知っておくべきこと!
第1回『子どもに携帯電話(スマートフォン)を持たせる時に気を付けることは・・・』
第2回『小学校や中学校では、どのようにインターネットについて学ぶのか・・・』
第3回『保護者が学ぶためのお薦めの書籍,専門家,サイト,講座について』

そもそも、GIGAスクール構想って何ですか?

---筆者宅は、子どもが高校生になり、小・中学校で取り組まれている
  「GIGAスクール構想」がよく分かりません。一体、何なのでしょうか?

GIGAは、何の略かご存知な方は少ないかもしれませんね。
Global and Innovation Gateway for All から頭文字を取って、
GIGA です。

『すべての人にグローバルで革新的な入口を』ということで、
児童・生徒向けに一人1台の端末と教育現場に高速大容量の通信ネットワークを整備し、
多様な子ども達を誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化された創造性を育む
教育を行うため、全国の学校現場で持続的に実現させる構想のことです。

GIGAスクール構想は、どのような展開をしていくのですか?

---GIGAスクール構想の目的などは分かりました。
  急に取り組みが活発化されている印象ですが・・・

学習困難な環境だったり、ASD・LDなどの学習障害があったり、
外国籍で日本語指導が必要だったり、
一昔前に比べると子ども達が多様化しています。

また、社会が激しく変化し、見通しがつきにくい世の中でもあります。
コロナウイルスが感染拡大して、世の中の様々なことが変わりました。

VUCAとは

このような世の中では、特別な支援が必要な子どもたちをはじめ、
生活していく上での基礎となる力と共にそれぞれが持つ資質や能力を育て、
伸ばしていくことが大事になります。

以前から、GIGAスクール構想は練られていましたが、
昨年のコロナウイルス禍で、国からの要請もあり、各自治体の取り組みも一気に進みました。
今後は、これをどのように活用し、情報活用能力を身につけさせ、
仲間と協働して自ら課題を見つけ、解決できるような人づくりに寄与できるか・・・が
焦点となると思われます。

GIGAスクール構想が本格化することで、現場の教員の負荷は増えるのでしょうか?

もちろん、新しい取り組みですから、
使いこなすまでの時間や労力を考えると教員の負荷は増えます。
しかし、それはマイナスな要素だけではありません。
先端技術のICTを利活用することは、これまでの授業の改善に繋がります。
問題発見、解決能力を育てるためには従来の一斉授業を見直す必要があります。
そこにICTをツールとして使うことは、教員にとっても新たな学びが開きます。
そして、これからの時代に生きるためには、ICTを「正しく上手に使う」ことが
教員にも子どもにも求められます。それを身につけるいい機会でもあるのです。

一人1台端末での学習では、端末は教科書代わりですか? 副教材ですか?

2015年・国の情報活用能力調査において、
情報活用能力が身に付いた子どもであっても、キーボード入力が1分間に5.9文字しか入力できません。
これでは、端末を活用していく前に、ICTを使うの嫌だな! 嫌い!ということに結び付いてしまいます。

---子どもが小学生の頃、パソコンを使って調べ物をする授業参観がありました。
  入力したい言葉を上手くローマ字に変換できるお子さんばかりではなかったです・・・

  確かに、手間取っていたら面倒くさいなぁって思ってしまいますね。

そのためにもノートや鉛筆などのように、自分の必要なタイミングで、
いつでも、どこでもすぐに使える教具・道具として使っていくことが大事です。
それぞれがそれぞれの必要に応じて、また好きなときに自由に端末を使って、
学びを広げられること、それが文科省がいう公正・個別最適化です。

教科書代わりに使うとなると、現場の教員もこの端末を使わなければならない!と気負い、
何でもICT活用となり、逆にデジタルの良さを見失ってしまうこともあるかもしれません。

アナログも大事。デジタルの良さも知る。
それは、教員も子どもも同じです。
「失敗しても良い」の気持ちで、使ってみる! やってみる!です。

現在の特別支援教育におけるICT活用は、どんな状況なのでしょうか?

書字障害・注意欠陥障害(ADD)がある場合、
字を書けないけれど、パソコン等の端末で文字入力はできます。
そのため、iPadやスキャナー付きプリンターがあることで、学習支援が一気に進みます。

特別に支援が必要な時に比べられるのが「平等」と「公正」です。
平等は、どんな人であっても「同じ条件」
公正は、人の違いに応じた「同じ結果」

平等・公正

GIGAスクール構想では、
「誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化された」ことが目的です。
そのため、ICT活用は、同じ結果を求めていかなければなりません。
特別支援教育では、子どもに応じた状況を見極めて、同じ結果を出せるようにする。
これを念頭に取り組んでいくことになります。

越谷市をはじめ、近隣市町での、GIGAスクール構想はどんな状況ですか?

近隣市町のGIGAスクール構想

各自治体で、予算や導入に対する準備などで様々な媒体を使っています。
それぞれに特徴があり、一長一短もあります。
まずは、使ってみる!という考えで取り組んでいるのはないかと思います。

端末導入が進むと、思わぬ課題も出てきます。
持ち帰るときの充電器は・・・ セキュリティは・・・ iPadなどのタブレットのカバーは・・・等々。
しかし、新たな取り組みですから、全てを予測準備しておくことは難しいのです。
走り出しながらそれぞれ課題を解決していく、これも新たな時代の問題解決に必要なことです。
各自治体では大変ですが、懸命に取り組んでいるところです。

越谷市で導入 ロイロノート School

ICTを利・活用した教育は、今後どのような展開になるのでしょうか?

今までの教育は、知識を伝達し、それを取り込み、試験などの場でアウトプットしていくものでした。
以前からも暗記やドリルなど、日々、簡単に取り組めるところでは、ICTを活用していました。

しかし、一人1台端末の時代となった今、
今までもやっていた身近に取り組める暗記・ドリルでの活用からステップアップして、
さらに子ども同士、端末を使って考えを深めたり、考えていることをまとめて共有し合うような
能動的な学びができるようになります。主体的・対話的で深い学びの場が広がるのです。

教育現場は、今までよりも「自己探求」をする場となっていきます。
前述のように、社会が急激に変化する時代になっているため、
物事を根底から捉える探究力や問いを立てる力が問われるようになっているためです。

---子どもが高校生になり、大学入試についても耳に入ってきますが、
  今までのマーク式回答だけでなく、記述式も増えてきているようです。

  社会の変化に対応できる人材育成・・・ということなのですね。

ICT利活用

 

---ところで、ねっぱとくんの4コマ漫画を見かけました!
  続編を執筆されているとのことで、クワイエでも紹介してもよろしいでしょうか?

ねっぱとくんの4コマ漫画をご紹介!!

2013年に越谷市をはじめ、埼玉県などの各種サイトで紹介されました
情報モラル教育啓発指導漫画 『ネット警備隊ねっぱとくん』 は、
大学時代に漫画研究会に属していた経験を生かし、
気軽に楽しみながら学べるよう、1話で見開き2ページという形式で描きました。

現在、SNSで公開しているものは、4コマ漫画で毎日1話ずつ公開しています。
情報活用能力を身につけて、正しく・上手に使えることが大事です。

GIGAスクール構想GIGAスクール構想・小学校低学年GIGAスクール構想・小学校中学年

 

GIGAスクール構想・小学校高学年GIGAスクール構想・中学生

---お忙しい中、取材協力ありがとうございました!
  『ねっぱとくん』を読んで、正しく上手にICTを使っていきたいですね。
  読者の皆さん、夏休みにご家庭で、親子であれこれ話し合ってみてください。

作者・大西久雄さんより
こちらに掲載資料画像の
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(2021年7月 by クワイエメンバー マユ)

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