小児科医に聞く!「withコロナの子育て」

小児科医に聞く!「withコロナの子育て」

2020年7月10日

新型コロナウイルスにより休校休園していた学校、幼・保育園がはじまりましたね。
ただ、去年までとは全く違う「新しい生活様式」での子育て、本当にお疲れ様です!
新型コロナウイルスの実態も徐々に明らかになってはきましたが、
親としては子供の健康や生活についての不安はまだまだつきないものです…

そこで、小児科専門医の吉岡淑隆先生にご協力いただき、
子どものコロナ対策や「新しい生活様式」での健康や生活について、分かりやすいQ&A方式でズバリうかがってみました!

どうしたらよいの?「withコロナの子育て」

今回質問に答えてくださった小児科医の先生

吉岡先生吉岡淑隆先生
日本小児科学会認定 小児科専門医
日本小児科医会認定 子どもの心相談医
日本小児科医会認定 地域総合小児医療認定医
医療法人社団シンセリティいなみ小児科副院長
NPO法人せたがや子育てネット理事
社会福祉法人日本フレンズ奉仕団評議員

小児科医・看護師・助産師・保育士による子育て支援チーム「つむぎて」の代表として、
埼玉県を拠点に、小児医療に関する講座や子育て支援活動を行っておられます。

 

Q 厚生労働省が出している指針「新しい生活様式」について、特に子どもが留意すべき点はありますか?

新型コロナウイルスについて「わかってきたこと」と「まだわからないこと」があります。
発症者に占める子どもの割合は圧倒的に少なく、重症にもなりにくいです。
日本では、新型コロナウイルスで亡くなった子どもは一人もいません。海外でも、子どもは明らかに少ないです。
これは、子どもには新型コロナウイルスの感染するレセプターという部分が少ないからかもしれないという報告もあります。


予防方法として、手洗いが重要であることは間違いありません。
新しい生活様式の基本的感染対策にもありますが、
手洗いは30秒程度かけて水と石けんで丁寧に洗う(手指消毒薬の使用も可)」ことは大切です。
「遊んだあと」「帰宅をしたとき」「食事をする前」「トイレのあと」といったタイミングは手を洗う習慣を小さなうちから身に付けておきましょう。


新しい生活様式の基本的生活様式にある換気については、数分間の2方向換気を1時間に2回程度を目安に行ないましょう。
その際、エアコンを使用し室温は28度以下になるように調整しましょう。


理解の出来る子には、ただ病気から遠ざけるだけではなく、新型コロナ以外の病気も含め、どうやって感染をするのか、
どの程度気をつけなければならないのか、どんなことをすれば感染しにくくなるのか、わかりやすく説明をしてあげることで、
感染症と共に生きていく方法を身につけていくことができるようになるでしょう。

Q 非日常生活での子どものメンタル面が心配です。子どもの心の不調のサインとケアの方法は?

学校や保育所等では約3ヶ月間の休校休園や分散登校などが行なわれ、やっと通常登校登園が再開となってきました。
成育医療研究センターのアンケート中間報告では、2歳以上児の半数に就寝起床時間のずれが生じ、3歳以上児の8~9割で運動時間が減っていることがわかりました。
こころの状態についても、3才以上の過半数に「イライラする」「集中できない」「寝付けない・起きてしまう」などのストレス症状が現れており、
保護者の過半数にも何らかの心の負担がある状態であることがわかりました。
子どもとの関わりでも、0~5歳の子どもがいるご家庭では「感情的に怒鳴ってしまう」ことが以前よりも増えた人が6割以上という結果でした。


まず、私たち大人や保護者がその病気に対して正しい知識を持ち、非日常の生活で心と体がどのように変化するのか、
どのように対処すれば良いのかを知っておくと良いでしょう。


正しい知識や情報を手に入れることも重要で、
根拠のないSNSなどでの不正確な情報にまどわされないように、信頼できる情報源かどうかを確認しましょう。
子ども達が感じている怖い気持ちや間違った思い込み、どんな気持ちも否定せず、
まずは聞いて共感してあげる
ことで、子ども達に安心感を取り戻してあげましょう。


そして今、何が起きていて、どのように予防をすればよいのかなどについて、
子どもの年齢や成長に合わせた言葉で、正直にごまかさず、ひとつずつポイントをしぼって伝えて、
家族で話し合ったり、子ども自身にも考えたり選んだりする機会を与えるのもよいでしょう。


「子どもの心の不調のサインとケア」は年齢によって、異なります。
就学前までの子どもでは、一人になることを怖がる、怖い夢を何度も見る、言葉が出にくくなった、
おねしょや便秘、かんしゃく、よく泣くようになった、後追いが増えたなどのサインが出ることがあります。
子どもの中には、自分のせいでこんなことになっているとか、テレビで起きていることが自分の近くでも起こっていると誤解してる子もいます。
分かりやすい言葉で説明をしてあげることや、「いつも通り」を維持することが大切です。
生活リズムを整えたり、安心できる言葉やしぐさで接したり、
子どもが自発的になれるような遊びを取り入れるなどをするとよいでしょう。


学童期の子どもでは、イライラ、攻撃的、泣く、落ち着かない、多弁、悪夢を見る、眠れない、食欲が落ちた、
頭痛、腹痛、友達と遊ばなくなった、やる気がでない、親の注意をひきたがる、などいつもと違う感じがないか見てみましょう。
子どもなりに納得ができるようにサポートし、時には情報から距離をとり、家族で話し合ったりしてみましょう。
「いつも通り」を維持することも大切です。


思春期以降の子どもは学童期の子どもと比べるとSNSなどの影響を受けやすくなります。
正しい情報を得られるように学んだり、善悪を簡単に決めつけず、世の中の差別や偏見について話し合うことも大切です。


大人が先回りせずに見守ることや、一方的に決めつけずに一緒に考えたり、一人になれる時間と空間を作ってあげたり、
子どものストレス解消やリラックス方法を一緒に探したりするのもよいでしょう。

Q 2歳以降の小さな子供の、マスクの正しい着用方法について教えてください。
  マスクを嫌がる場合には、どの様に対応したらよいですか?

2歳未満では、マスクをすることにより呼吸がしにくくなり、吐いてしまった場合も気付きにくく窒息を起こす可能性もあることから、
アメリカのCDCでは2歳未満のマスク着用は危険としていましたが、日本小児科医会も先日、同様の通達を出しました。


2歳以上でも同様のリスクはありますし、マスクの理解が出来ていない子はマスクをたくさん触り、それによる接触感染のリスクが高くなる可能性があります。
外来でも、手作りマスクを嬉しそうにつけて、ペタペタ触っている子をよく見かけます。
大人も子どももマスクの正しい着用方法は同じですし、取り外し方も同じです。


屋内の涼しい環境で、マスクの理解ができていて、マスクの着脱をしっかりできて、マスクを頻回に触るようなことのない子は付けるとよいでしょう。
それが出来なければ、むしろ付けない方が良いかもしれません。
触覚過敏のある子では、強く拒否をする場合があります。この場合、無理矢理付けることはしない方がよいでしょう。


これから気温も上昇します。先日、外来でも熱中症の子どもが受診しましたが、マスクを付けたまま顔を真っ赤にしてぐったりしていました。
熱中症で亡くなる方は毎年数百人~千人以上で子どもの死亡も毎年報告されています。屋外でのマスク着用は控えた方がよいでしょう。

Q 外で遊ぶ機会が減り、運動不足が気になります。最低限必要な子どもの運動量は?

文部科学省は、屋内も含め1日の運動量を合計で60分以上と設定しています。
鬼ごっこでも、縄跳びでも、サッカーでも何でもよいので、遊びの中で運動をしたり、
雑巾がけや掃除など、体を動かしながら楽しくお手伝いをしてみたり、毎朝の散歩を家族の日課にしてみたりするのもよいでしょう。


運動量の低下に加え、夜更かしをしたり、朝寝坊をして朝食を食べなかったり、偏った食事やお菓子を食べていたりなど、
誤ったライフスタイルを身につけてしまうと、肥満をはじめ生活習慣病や各種アレルギー疾患だけでなく、不定愁訴なども訴えるようになり、
さらに運動量が減るという悪循環も問題視されています。
このような習慣は大人になっても続いてしまい、さまざまな健康問題に発展する可能性がありますので、
体を動かすことを生活の中に取り入れて習慣にしていきたいですね。

Q 外遊びの減少に伴って日光に当たる時間が少なくなっているのが気になります。神経質になる必要はないですか?

食事により体の中に取り入れたビタミンDを紫外線が活性化してくれて、骨の代謝を助けてくれます。
全く紫外線を浴びていないと骨が伸びなくなる「くる病」という病気になることがあります。
東日本大震災のときにも、子どもの「くる病」が増えました。ただ、浴びすぎると、将来の皮膚がんや白内障などのリスクを上げてしまいます。


日陰であれば約30分程度、日向であれば約10分程度浴びていれば十分と言われています。
逆に、長時間にわたって日に当たってしまうのであれば、子ども用の紫外線クリームを使用しましょう。

Q 次に冬(第2波?)が来る前に、子どもたちの健康面に対して準備しておいた方が良いもの、
  やっておいた方が良い事などはありますか?

健康面に対しては、生活リズムを整えておくことが大切です。
一般的な風邪に対しての報告ですが、睡眠時間が短くなると風邪の発症率が上昇することがわかっています。
食事をしっかり食べて、適度に運動をすることや、たくさん笑うことも大切ですね。


予防接種を控えている方が増えていますが、予防接種のある病気は子どもにとっては新型コロナウイルスよりも怖い感染症ばかりですので、
小児科外来が空いている今の時期に予防接種は済ませておきましょう。


今後、どのような流行状況になるのか誰もわかりません。
正しい情報と知識を身につけ、対処方法について話し合いをしておくのもよいでしょう。

Q 毎年11月頃に、インフルエンザの予防接種をしています。今年も例年通り行ったほうが良いですか?

インフルエンザのワクチン接種が始まるのは、例年10月からです。
国内での感染者数は推定約1000万人と言われており、死亡者数は毎年数百人から3000人程度、超過死亡を考えると年間約1万人が死亡していると言われています。


しかし、国内での年間ワクチン需要量は3000万本未満ですので、ワクチン接種をしていない人の方が多い状況です。
予防接種は集団免疫をつけるためのものです。その集団に免疫を持っている人がたくさんいれば、流行しにくくなり、死亡者数を減らすことができます。
残念なことに、日本では接種者が少ないため、集団免疫をつけられていません。新型コロナウイルスとの混合感染の報告もあります。
自分の周りの大切な人を守るためにも、目の前にいる誰かにとって大切な人を守るためにも、ぜひ接種をお願いします。

Q 子どもが風邪症状の際、小児科にかかる目安はありますか?

その症状で、眠れない、飲み食いできない、ぐったりなど生活に支障が出ているのであれば、必ず受診しましょう。
各医療機関で受診の仕方など対応も異なると思いますので、受診をする前に電話で確認をしてみるとよいでしょう。


何か症状があっても、元気で飲み食いできて眠れるような状態であれば、受診をする必要はありません。
しかし、情報も氾濫している現在において、どうしてよいのかわからないという方や、
初めての赤ちゃんの発熱などで困ってしまう方もいらっしゃると思いますので、
心配であればいつでも小児科に相談をしてみてください。

Q 何歳からオンライン診療の受診を推奨しますか?オンライン診療を受ける際、事前に準備すべき確認事項は?

オンライン診療は急性疾患、感染症、皮膚疾患などを多く見る小児科には不向きだと言われています。
また、乳幼児は症状の訴えもうまくできず、急激に悪化することもあるので、対面での診察をおすすめします。


小学校高学年以上の子や経過の落ち着いている喘息、アトピー、アレルギー、便秘、夜尿症、心の相談などはオンラインでもよいのかもしれません。
まずはかかりつけ医や最寄りの医療機関に電話やオンライン診療を行なっているのか確認をしましょう。
オンラインの場合も保険証や乳幼児医療証の情報が必要になります。
医療機関が導入しているオンラインのシステムにより対応が異なりますが、事前にクレジットカード情報を登録しておかなければならない場合や、
普段は医療機関に受診してもお金のかからない子どもも、オンラインでは手数料や処方箋の郵送料などでお金がかかる可能性がありますので、
そちらも確認をしておくとよいでしょう。

Q 子どもに関連する新型コロナウイルスの最新情報は、何を参照すると良いですか?

公式の情報を参照するようにしましょう。
例えば、厚生労働省や各自治体の情報、日本小児科学会・日本小児科医会などの各学会の情報、成育医療研究センターなどの研究機関の情報が信頼できるでしょう。
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症について
越谷市 新型コロナウイルス関連
日本小児科学会 新型コロナウイルス関連情報
 ※ブラウザにより開けない場合があります。
日本小児科医会 新型コロナウイルス関連情報(一般の皆様向け)

家庭でできる、日常の備え

コロナとは直接関係がないのですが、子どもがいる家庭でできる日常の備えについても聞いてみました。

Q 子どものいる家庭で用意しておくべき、常備薬や救急箱の中身は?

喘息やアナフィラキシーなどの既往のある子は、発作時など症状がでたときのための薬を常備しておきましょう。
ガーゼ、絆創膏、ワセリン、テープなどは外傷時に使えます。氷のうも持っておくと、冷やしたいときに使えます。

氷のう…まさに、備えていなかった私が0歳児を抱えて急いで買いに走りましたcrying
皆さんはそんなことが無いよう、日頃から備えておきましょうね!!

まだまだ吉岡先生に色々と聞きたい!と、思ったあなたに朗報です!

2020年7月26日(日)越谷市市民活動支援センターCaféTOMOで行われる、
「お医者さん体験イベント」で、吉岡先生に直接質問ができます。
吉岡先生が代表で活動している子育て支援チーム「つむぎて」さんが、企画・運営するイベントで、
幼稚園年長~小学生のお子さんが、白衣を着て、心臓マッサージの体験ができます!
目の前で大切な人が倒れたら、息をしていなかったら何をしてあげられるか…子どもが体験を通して学ぶ良い機会!
吉岡先生含む小児科医、看護師、助産師、保育士への質問タイムがありますので、
気になる子どもの健康のこと、聞いてみてはいかがでしょう。

「お医者さん体験!」白衣を着て!心臓マッサージ&心臓の音を聴いてみよう!
お医者さん体験イベント
日時 令和2年7月26日(日)10:30~12:00(10:00受付開始)
*新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため内容の変更または中止となる場合があります。
場所 越谷市市民活動支援センター活動室
内容 お医者さん体験!白衣を着て!心臓マッサージ&心臓の音を聴いてみよう!をテーマに開催する。
   様々な機器を使い、体験から学ぶ。
対象 幼稚園年長~小学生とその保護者
定員 10組(要申込)
参加費 無料
申し込み 越谷市市民活動支援センター窓口または電話にて
     TEL:048-969-2750
イベント詳細はこちら

6月には、越谷市子育てサロンみんなのひろばフェリーチェにて、
吉岡先生による「夏のこどものホームケア」オンライン講座がありました。
参加を逃してしまった方も、「つむぎて」メンバーの助産師染谷しゅう子先生のブログで見ることができます!
熱中症対策や虫刺されについての知識が得られる、目から鱗の情報なので、ぜひこちらもチェックしてみてください。
染谷しゅう子先生のブログ記事はこちら

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(2020年7月 byクワイエメンバー were&ミキキリン)