不登校問題を考えよう【その4】 ~フリースクール「げんこつ」木村先生に聞きました~

不登校問題を考えよう【その4】 ~フリースクール「げんこつ」木村先生に聞きました~

2017年12月14日

不登校問題を考えよう【その3】」では、
子どもたちを取り巻く問題点と、子どもの成長に必要なものは何かを伺いました。
最終回の今回は、悩める保護者の方たちに、
今、木村先生が伝えたいことを伺いました。

不登校問題を考えよう【その1】  北越谷『げんこつ』設立までの経緯と、『げんこつ』の紹介
不登校問題を考えよう【その2】  不登校に対する考えと、子どもたちへの思い
不登校問題を考えよう【その3】  今の子どもたちが抱える問題と、子どもの成長に必要なもの
今回 不登校問題を考えよう【その4】  今、悩める親たちに伝えたいこと

 

 ■NESげんこつ
げんこつ外観  1993年設立、NPO法人。
 フリースクールのほか、学童保育、放課後デイサービス、障害児学童保育、
 自立支援、ゼミナール、カウンセリングなども行っています。
 生活体験を重視した、新しい子育て支援施設です。
  
 越谷市北越谷1-23-1 オリーブハイツ101
 TEL:048-977-8996
                      ホームページ:http://www.gennkotu.net/

今、親たちに伝えたいこと

切り替えをする勇気を持とう

木村先生 不登校の子どもを持つ親たちは、
 なかなか「あなたはあなたのままでいいよ」という考えにスイッチするのが難しいようです。
 実際問題として、将来の見通しも立たず、
 日々どう接してどう振舞っていいのか、という悩みが大きくなりますから、
 そういったところと付き合っていくことが大切になります。
 親が持っている義務というのは「学校へ行かせる義務」ではなくて、
 「子どもの学習する権利を保障する義務」なんですね。
 だからもし学校でうまくいかなくなったら、すぐに切り替えをして、
別のところへ通わせることを考えてもいい
んじゃないかな。
親が早めに諦められれば、子どもも楽なんだけど、
親の方がなかなか諦められないと、子どもも苦しくなっちゃいますね。
でもね、当事者になると、心穏やかではないですよね。
「学校へ行かない」っていう決意をするのは、とても大変なことだし、とても勇気の要ること
だけど、「これじゃダメだ」って落ち込んで、何とか学校へ適応しようと、自分を傷つけながら生きる生き方よりは、
パーッと「毎日が夏休み!」って(笑)、色んな人に出会ったり、自由に生きていった方が楽しいんじゃないかなあ。
子育てをしていると、将来子どもの就く職業って、多くても5つくらいしか想像できないんですね。
でも日本には2000の職業があるんですね。
子どもの適正なんかを見て考えていくと、可能性は限りなく広がる。
そしてその適正は、高校から先で十分身に付けていかれるものがほとんどなんですね。
そういうふうに見ていかれると、もっと気が楽になると思います。

成長の道筋を見据えて、生きる意欲を育てる

「子どもの発達」っていうのは、人間の成長に与えられた法則で、
変えられない道筋があって、その法則を飛び越えて成長はできないんですね。
生まれた赤ちゃんの首が座って、寝がえりを打つようになって、ハイハイして…っていう道筋があるでしょう。
寝返りを打ったら、すぐ立てるようになるかっていうと、そういうわけにはいかないですね。
それと同じように、子どもが大人になるためには、変えられない成長の道筋があるんです。
そういった成長の道筋を踏まえた上で、私たちは生まれた子どもを大人にしなくちゃいけない。 
20歳の大人ってどういう能力を持っているものなのかを、冷静に考えなくちゃいけないし、
それをどう身につけさせていくのかは大人の側の責任です

その責任を、子どもが嫌がるからとか、学校へ行かないからと言って途中で放棄するのは良くないですね。
子どもを学校へ適応させる必要はないけど、社会の中で自分なりに生きていく人間には育てなくてはいけないんです
今って、核家族化のせいで、家庭教育が全くなくなっているんですね。
何か伝えたいことがあっても一言で片付いて、ちゃんと文章で言わなくても済んじゃうんです。
昔から「しつけ」って言われてきた、挨拶したりお手伝いをしたり相手を思いやったりっていう、
家庭の中にある人間らしい交流や生き方が、人間の生きる上でのとっても大切なものを作っているのに、
そういった生きる意欲を育てずに、学校へ適応できないと嘆いていても、らちは明かないですよ。

習い事について思うこと

子どもたち同士の集団生活って定型じゃなくて、自分と違う人間と向き合って遊ぶわけで、
「なんでこの子は、こう言ってきたんだろう?」「なんで泣いちゃったの?」っていう目の前のことと関わりながら、
どうやったら仲良く遊べるかを考えていくから、自然と色んなことが身に付いていくんですよね。
でも習い事はやることが定型化されているから、自分が何かに働きかけて、
その反応にドギマギしながら、また自分もそれに反応して、っていう体験ができない
ことが多いんです。
それぞれ得手不得手があるから、子ども自身が気が付いたとき、やりたくなったときにやっていく形でも良いんじゃないかな。
例えば、ピアノが弾けなくても、水泳ができなくても、いつも気持ちの良い挨拶ができる、困っている人に声をかけられる、
電車でお年寄りに席をスッと譲れる、そっちのほうがいいでしょ、っていう価値観も育てていかなくちゃいけないなと思います。

木村先生から、保護者の方たちへ一言!

木村先生 自分の人生の年齢は子どもの何倍もあるけど、親になった年齢は子どもの年齢と一緒です。
 だから、うまくいかないのが当たり前、それは愛情がないのとは違いますよ。
 愛情はいっぱいあるから、空回りしちゃうんです。
 そこのところは忘れないでくださいね。

 

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取材後記

「子どもの味方になる」の言葉が響きました。
子どもの成長を一番に考え「わが子にも体験させたい!」と思うようなことを実践していらっしゃいました。
私たちは、家庭で子どもをどう育てていくか。たくさんのヒントをいただきありがとうございました!!(ゆきだるま)

いつもご一緒させていただいているときは、素敵な歌やギターを披露してくれる木村先生。
こんなに深い教育論が聞けるとは、私の期待をはるかに超えて、ますます木村先生のファンになりました。
「今の子どもたちはいつも小走り状態。ゆっくり歩いて、道端にある草花に気づいたり、夜は星を見上げたり、そっちの方が幸せじゃないか…」
子どもが不登校にならずとも、げんこつに通わせたいとまで思ってしまいました。(Sakiko)

「フリースクール」と言うと、ずっと勉強だけをさせるイメージがあったのですが、
こんな素晴らしい視点を持って運営されているフリースクールが身近にあることが、大変心強く思えました。
温かい目で子どもたちを見守って、人としての根幹である「生活する力」を育てている木村先生のお話を伺い、
共感するとともに、ハッと気付き反省させられることもたくさんありました。(fika)

(2017年12月 byクワイエメンバー ゆきだるま、Sakiko、fika)

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